h-moll♪diary

東京ジングフェラインという合唱団に所属する rentzの練習日記

もうひとつのLascia chio pianga

Lascia chio piangaは、有名なヘンデルのアリアで、
日本語だと「私を泣かせてください」のタイトルで、
親しまれています。

先日の、みなとみらいのコンサートで藤崎さんが歌ってくださっていた、
美しいこの音楽が頭から離れずにいたのですが、
なんと、この曲、聖歌にもなっているのです。
歌詞だけ違うのですけど。
私もI澤副団長にお聞きして、初めて知りました。

こんな歌詞です。


”主よ 御手をのべたまえ”

”主よ 御手をのべたまえ 沈み行く わが心に。

すがりうる 御柱(みはしら)は ただ君のみ
主よ 御手をのべたまえ 沈み行く わが心に。

死のうずに 巻き込まれて のがるるすべ 見だし得ず。
ただ 汝(な)が救い 待つのみぞ
主よ 御手をのべたまえ 沈みゆく わが心に。

み救いは 君にあり いま来たりて
主よ 御手をのべたまえ 沈みゆく わが心に。”

とても素敵な歌詞でしょう?
心に染みいるような。
最近の私の心を、
本当に癒してくれました。

自分で歌うのもいいし、
素敵な人に歌ってもらうのもいいですね♪

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この曲は本になっています。
名曲が、みんな聖歌になってしまった曲集です。
ベートーヴェンの月光まであります。

興味のある方は、見てみてください♪

聖霊は囁く

新富士にメサイアの練習をしに行く途中の
新幹線での出来事です。

I澤さんが、今日練習するかもしれない、
Let all The Angels Of 
God Worship Himを口づさんで
いらっしゃいました。

私は、なぜか、その声を聴いていて、
バッハの無伴奏ヴァイオリンのソナタ3番の
2楽章のフーガを思い出しました。
ちょっと似ている所が、あるからなのですが、
(特にメサイアのオケ・パートの所が)
このフーガは「来たれ、聖霊よ、主なる神よ」
”Komm,heiliger Geist,Herre gott”
カンタータ59番のテーマに基づいています。
そして、このフーガは、そのテーマのせいもあり、
そしてまた、広大な構成のせいもあり、
私の、大のお気に入りの曲であります。

何かから、何かを思い起こすとき、
脳みその中の記憶の層が、揺り起こされる気がします。
好きな物を繋げていけるのは、嬉しいことです。
こうしている今も、端から記憶は埋もれていくのですから。
何をして、何を思い起こされるのかというのは、
その人の歴史でもあります。

しかし、「聖霊が囁いた」としか
思えないような瞬間が、この世にはあります。

N西さんから、チケットを頂いた
チェンバロのコンサートが、
今月の6日に、原宿の中央教会でありました。

演ずるのは、シェティル・ハウグサン。
ノルウェイ生まれのチェンバロ奏者、指揮者です。
プログラムは
フレスコバルディ、ブクステフーデ、J.S.バッハの曲でした。

ブクステフーデの
プレリューディウムとフーガ ト短調(BuxWV163)
を聴いていた時の事です。

まるで、ヘンデルのメサイアと同じテーマのかけあいが、
この作品に出てきました。
And He shall purifyの
10小節目からのかけあいが、まるでそっくり。
g-mollなのも、一緒だし、
これは、メサイアの方が、
ブクステフーデをそのまま、持ってきた感じです。
この時代、テーマを借りてくるのは、
そんなに珍しいことではなく、
版権なんてものはありませんし、
有名なテーマを使って、どんなにすばらしい作品が作れるのかというのも、
作曲家の腕の見せ所だったりするわけですが、
私の言いたいのは、そのポイントではなく、

実は、
何度も、このブクステフーデの曲をオルガンで聴いていたし、
あまつさえ、このブログで取り上げた事まであるというのに、
その瞬間まで、メサイアとの類似性に
まったく気がつかなかった事でした。
反対に言えば、
このコンサートでやっと気がついた訳でして。

馴れ親しんでいる、チェンバロの音で奏されたせいでしょうか・・・
それとも、

それとも、今、メサイアを練習している、私に、
聖霊がそっと囁きかけたせいでしょうか・・・

その思いが、より強くなったのは、
コンサートの終わり、アンコールにハウグサンが
弾いた曲です。
彼は、バッハの無伴奏ヴァイオリンの、
ソナタ3番の、第一楽章アダージョを
チェンバロで弾き始めたのです。

この曲は、教会の鐘を思わせる曲想で、
本来のヴァイオリンよりも、
トランスクリプトされたチェンバロで弾かれると特に、
まるで、教会の鐘が次々に鳴っていく気分になります。

曲が終わりました。暖かい拍手が鳴っている中、
私の頭の中には、
その次の2楽章が鳴っていました。
「来たれ、聖霊よ」

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャパン2009

国際フォーラムで開かれた、この、クラッシック音楽のお祭りに
最終日5月5日、行ってきました。
今年のテーマは、「バッハとヨーロッパ」
連れは、友人O倉さんで、
本当に、楽しいひと時でした。

まず、ピエール・アンタイ指揮、ル・コンセール・フランセの
バッハのカンタータ、BWV93,BWV33。
歌手陣は、キャサリン・フーグ(ソプラノ)、
ダミアン・ギヨン(カウンターテナー)、
ハンスーイェルク・マンメル(テノール)、
マティアス・フィーヴェク(バス)

個性的なチェンバリスト、アンタイが、指揮をするのがとても
楽しみでした。
始まって歌手とアンタイが舞台に出てきて・・・
あれ?コーラスは?
居ません、出てきません。
ま~このコンサート、コーラス・パートもソリストが歌うみたいでした。
なんて、お得な、名だたるソリストのコーラス・パートなんて
そうそう聞けるものでは、ございません。

本当は、BWV178の予定が、33に変わり・・・
こういう変更は、このお祭りのあちこちで、聞かれ、
悲鳴があがったり、満足の声が聞こえたり、いろいろでした。
まぁ、みなさん、なさりたいようになさるみたいで・・・(笑)

それで、このコンサートはどうだったかといいますと、
33番、当たりでした。
カウンターテナーの、本当に美しいアリアがあり、
これ一曲だけでも、聴きにきたかいがあったというものです。
オケは始め鳴らなくて、ちょっと混沌としてましたが、
次第に、調子をとりもどし・・・

しかし、アンタイ・・・弾き振りかと思ったら、
指揮のみでした・・・ちょっと残念。

次に、フイリップ・ピエルロ指揮、
リチェルカール・コンソートの
バッハ、ミサ曲ト短調BWV235と、同じくバッハの
マグニフィカト ニ長調BWV243
歌手陣は、
マリア・ケオハネ(ソプラノ)
アロメ・アレール(ソプラノ2)
カルロス・メナ(カウンター・テナー)
ハンス=イェルク・マンメル(テノール)
ステファン・マクラウド(バス)

このコンサートは、
マリア・ケオハネさんとステファン・マクラウドさん
目当てに買ったものでした。
ケオハナさんと、マクラウドさんは、
2008年2月に行われた、
フェルトホーフェン指揮の
ヨハネ受難曲
で、
本当にお気に入りとなってしまった
歌手でした。
その二人が歌うというだけで、期待は高まります。

そして、期待は裏切られるどころか、
大いにむくわれました。
このコンサートもコーラス無し、ソリストが
コーラスパートも歌うという、
本当に夢のような演奏。

あの、ケオハナさんが、ソプラノ1のメリスマを・・・
あの、マクラウド様が(もう、様になっている)バスのメリスマを・・・
なんて、夢のよう・・・。
だって、私の大好きなバスのソロ、
Quia fecit mihi magna
を歌うだけでも嬉しいのに。
この曲の今回のバッソは、チェロ、コントラバス、
チェンバロ、オルガンでした。
私の好みの取り合わせで、余計に嬉しい~。


その他、ハッとしたところは、
Et misericordia
この、アルトとバスのデュオの美しい曲は、
本当に、私のお気に入りですが、
一番最後のtimentibus eumの時に、
普通の演奏では聞かれない歌い方をカウンターテナー
がしているのに、ちょっとびっくりしました。

何かというと、普通では伸ばすところを
刻んで歌っていたわけなんですが、それが、ナイーブな
響きで素晴らしかったのですね。
帰って、スコアで確認してみましたところ、8/12拍子の
この曲の30小節目の付点4分音符が8分音符3つに
分かれて演奏されていました。
次のバスの8分音符のトリラーも無視されて、
正確に8分音符を刻んでいました。
しかし、切るのではなく、あくまでスーパーレガートの
中でしたので、楽曲に障ることなく、
むしろ、楽曲がここで終わるんだという目印になるような
そんな、ボン・グー(趣味のよい)なバロキッシュな終わり方
でした。
なんか、それだけでも、この指揮者のセンスというのが
うかがわれます。

そして、次の曲Fecit potentiamの
崩壊寸前まで速められたこの、テンポの対比。
まあ、タダモノではございませんなぁ~。

ピエルロの指揮は、アパッショネイトで、テンポも速め。
とってもノリノリ感が強い演奏で、
いや~~、堪能しました。
ピリオド楽器も、良く鳴っていました。トランペット、素敵。
トラヴェルソ綺麗。
そうそう、面白かったのが、オケのピッチの合わせ方。
チェロの人が、コンミスまで、歩み寄っていって
楽器を向かい合わせて合わせて、
それを持って今度は、コントラバスに赴き
やっぱり、楽器向かい合わせで合わせ・・・
なんだか、共鳴させているようで、とても、ヴィジュアル的に
面白かったです。
おかげで、ピッチの揃ったオーケストラ・・・
素晴らしい~。

満足しつつ、会場を後にしました。



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